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CMS+IA のデザインに向けて (1):今回の DESIGN IT! Forum 2009 の意義とは

2009年8月18日 掲載

清水 誠

清水 誠

いつも時代を先取りする DESIGN IT! Forum の今回のテーマは、
『企業情報の構造改革:DITA-XML-CMSによるコンテンツマネジメント戦略』。
ちょっと早すぎるのでは?というのが最初の感想だった。

日本ではUSに9年遅れて CMS 元年

2009年は CMS の普及が進んだため、日本の CMS 業界では CMS 元年と呼ばれている。

この状況は、ちょうど2000年頃のUSの状況とよく似ている。どの CMS 製品が良いのか?要件定義と製品選定をどう進めるべきか?過去コンテンツ移行のコツは?タクソノミーの定義方法は?などがIAコミュニティの間で盛んに議論され、Web コンサルタントの新たな飯の種になっていた。

その後、IAも CMS もコモディティ化が一気に進行。システムとしての CMS の乗り換えも経験し、次第にコンテンツそのものの価値が認識されるようになっていった。このことは、コンテンツ管理システムの略語である「CMS」ではなく、中身としての「コンテンツ管理」と呼ばれるようになったことからも分かる。企業は、ビジネス的な優位性を確立するために、情報資産を有効活用する方法を模索している。それを支える技術として、XML や DITA が発達した、というわけだ。

一方の日本では、ユーザビリティやユーザーエクスペリエンスの概念とサイト構築手法の普及は進んだものの、コンテンツのアーキテクチャという意味では Webナビゲーションの設計手法に留まり、Web以外も視野に入れた包括的な情報構造や管理プロセスの設計は手付かずの状態になった。

CMS もここ数年で普及が進んだものの、更新を楽にするためのツール、テンプレートによりデザイン・UIを統一するためのツール、という位置づけに留まっていることが多い。

日本の Web / CMS 業界の将来を予測

このギャップを踏まえて、CMS とIAが日本で今後どうなっていくのかを予測してみよう。

  • 企業はIAを内製化する
    情報アーキテクチャの設計と管理が常時必要な作業であると認識され、企業は正社員のIAを雇用するようになる。これは数年前からすでに進行中で、筆者の周りでも事業会社の中に入ったIAの同僚は数多い。
  • CMS 導入を終えた企業はコンテンツの重要性を再認識する
    システムとしての CMS 導入は第一歩でしかない。運用を続けるうちに、中身としてのコンテンツのあり方と管理プロセスに問題があることを認識。新たな課題が見えるため、CMSの乗換えを強いられる。
  • コンテンツを貯めて活用できる企業が勝ち組になる
    コンテンツの重要性を認識したものの、過去に蓄積したコンテンツの精査(構造化)や管理体制の刷新は何年もかかることに気付いて愕然とする。この問題を直視して素早く対応し、乗り越えることができた企業が勝ち組になる。

システムとしての CMS から中身としてのコンテンツへ

このようなトレンドの中で、今回の DESIGN IT! Forum のテーマは「企業情報の構造改革:DITA-XML-CMSによるコンテンツマネジメント戦略」となっている。

システムとしての CMS ではなく、中身としてのコンテンツ(情報資産)を有効活用できるようにするために、どのように情報を構造化や管理をすべきか?そのためには CMS や XML、DITA などの考え方や技術が役に立つ、というわけだ。

そしてこれは、Web に限った話ではなく、企業の情報資産をいかに戦略的に管理・活用していくべきか、にまで話が広がる。

テクニカルコミュニケーション業界と Web 業界の接点

テクニカルコミュニケーション業界は Web よりも長い歴史を持ち、情報の構造化と管理・生産の効率改善に取り組んできた。このため、コンテンツ管理の概念や手法に関して Web 業界(特にIAやITマネージャー)が学べることは数多い。テクニカルコミュニケーション業界にとっても、Web の構築・運用スタッフとの距離が縮まれば、より包括的な取り組みが可能になる。

この2つの業界が日本で集結して同じトピックについて語る大きなイベントとしては、日本では初といえるのではないだろうか。ようやく見え始めたコンテンツへの回帰と、2つの業界の接点。決して早すぎるということはない。

この記事は、DESIGN IT! Forum 2009 スピーカーである、 清水誠氏より寄稿いただいたものです。

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